なぜ私たちは、
人を「スペック」で値踏みしてしまうのか?
年収、容姿、年齢。現代のマッチングアプリや婚活市場が提示するのは、人間を「スペック」で値踏みしあう巨大な取引市場だ。
かつて社会や共同体が分散して引き受けていた生活のリスクは、いまや一組の夫婦という個人のセーフティネットに押し付けられている。
その過酷な構造の中で、人々は生き残るために必死で相手の条件を求め、画面の向こうでは極端な不平等と選別が繰り返される。
相手に選ばれるために、筋トレやダイエットをし、自分を着飾り、自分の「ダメ」だと思う性格や癖を隠す。
スワイプが生む拒絶の連続や、費やしてきた時間への執着(サンクコスト)が自己肯定感を削り、「誰かと深く繋がる感覚」を徐々に、そして確実に奪っていく。
「ありのままの自分を愛してほしい」
そう願うことすら、「わがままだ」「現実を見ろ」「あきらめろ」と世間はあなたを正そうとしてくる。
なぜ、セックスや婚姻には
これほど強いルールがあるのか?
進化生物学の視点に立てば、かつて女性が単独で子育てをすることが生存困難だった時代、集団内での庇護や資源(食料)を獲得し、パートナーを引き留めるための適応戦略として「性的快楽」が機能したと言われている。
さらに人類の歴史において、奪い合いや余計な争いを回避し、集団の秩序を保つために発明された社会システムこそが「一夫一婦制」であり「婚姻制度」だった。
条件による値踏みも、枠組みによる縛りも、すべてはかつて人類が生存確率を上げるために編み出した「過去の最適解」に過ぎない。